
Donde estan Ebblis y Yulien? エブリスとユリエンのその後
(05.11.07 updated)
映画「ポプラル!」をご覧になった方は、チャランガ・アバネーラの絶対的な人気に圧倒されると同時に、ある疑問を感じずにはいられないのではないでしょうか。
「キューバの最高峰のバンドでどうしてこんなに人が入れ替わる?」
特に人気絶頂時に衝撃的にバンドを脱退したヴォーカリストのエブリスとパーカッショニストのユリエン。彼らがその後どうしているか、追跡取材してきました。
エル・ボニことエブリスは2004年秋にチャランガ・アバネーラを脱退。その後すぐに若手実力派バンド「エル・クラン(El Clan)」のソロ・ヴォーカリストとして、やはりキューバの若者に大人気だった弟ケリーと共に「Boni & Kelly」を結成。この夏には、待望のファースト・アルバム「Fanática」を国内外に向けリリース。現在はハバナで勢力的にライブ活動を行っています。
アイディア豊富で多才なヴァルディヴィア兄弟のコンセプトは、ラテン・ポップ、R&B、ヒップホップ、バラードからレゲトンまでのポピュラー・ダンス・ミュージックのテイストを、リッチで複雑なキューバのリズムとフュージョンさせて新しい音楽を生み出すというもの。彼らの音楽的好奇心満載のアルバムのアレンジを担当したのは、パウリートF.G.やイサック・デルガード、ハイラ・モンピエなどのヒット作を次々に世に送り出したキューバ1の敏腕ディレクター、フアン・マヌエル・セルート(Juan Manuel Ceruto)というキューバ音楽界にとってはエキサイティングなコラボレーションになりました。
アルバム発売前からBoni & Kellyの動向は常に注目されていて、ポップな曲調が楽しい「Que Lastima」、エブリス作の「Fanática Mia」などの曲がTV・ラジオでヘビー・ローテーションされ、また、5月には、名誉ある音楽祭、El Concurso Adolfo Guzmanで、el Premio de la Popularidadを受賞したりもしていたようです。
エル・ボニは、劇中の歌にもあるように、ブルーグリーンの瞳が美しい、まさにイケメンで、日本にも多くのファンがいますが、弟ケリーも人懐っこい笑顔がキュートな美形。アイドル・デュオとして紹介されていることも多いようですが、ティンバ・バンドでトップ・スターに上りつめた2人、ライブでは腰をグイグイ揺さぶるサウンドを聴かせてくれます。チャランガで経験を積んだエブリスはもちろんのこと、弟ケリーもキューバの高等芸術院(ISA)でダンスを専攻していたほど。チャランガもビックリの運動量の多いライブを展開しています。ライブが盛り上がるにつれ、会場はデスペローテの渦。特にオススメは毎週月曜日に行われているDelirio Habanero(Teatro Nacional de Cubaの3階のピアノ・ラウンジ)でのライブ。ステージとダンスフロアの差がほとんどないので、Boni & Kellyのエネルギーをダイレクトに感じることができます。
バンドのグルーヴの要はベースのWilber Rodriguez。エル・クランからの移籍組。他、コンガのLuis Palaciosもエル・クラン出身で、途中、ユニークなダンスで会場を沸かせていました。
一方、ユリエン・オビエドは、2004年春、チャランガ・アバネーラを脱退。天才パーカッショニストの行く末が気になる日本のファンの間では、「彼は活動拠点をヨーロッパに移し、オリシャス (Orishas) に加入!?」というウワサまでが飛び交いましたが、その後、彼の音楽活動については、あまり聞かれませんでした。
2004年年末、ハバナのライブハウスで、ユリエン、チャランガ・アバネーラのレオニが出演するプロモ・ビデオが頻繁に流されていましたが、これは、La Fres-Kという女性ラッパーのビデオ。ユリエンは、彼女のファースト・アルバム『Simplemente Fres-k』の録音に参加していたよう。他に、チャランガでは看板歌手のレオニ・トレスがコロとして、トランペットには、やはりチャランガのジュニオ、系統が違うところで、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのエリアデス・オチョア(Eliades Ochoa)といった豪華メンバーも参加しています。
その後、父、カリスト・オビエドとヨーロッパで活動中という話でしたが、2005年9月18日、パルケ・レーニンでのチャランガ・アバネーラの白熱のライブで、すっかりエネルギーを使い果たして休んでいたところ、「ユリエンの新しいバンドが、今夜、Jazz Cafeで演奏する!」との連絡が入り、ステージ上のユリエンを再度見ることができました!
映画本編では「La Gorda」などの曲を熱唱する姿が印象的なユリエンですが、ユリエンのティンバレスが見たい。しかし、この日、ユリエンが手にしたのは・・・やっぱりマイクでした!彼はソロ・ヴォーカリストとして自身のバンドを率いていくようです。
久しぶりのユリエンの歌声。ソウルフルな美声には聴き惚れてしまいます。Boni & Kellyと比べて、さらにキューバ色薄めのR&B調。オリジナル曲はまだ少ないようで、ジャスティン・ティンバーレイクの「Señorita」やチャランガ・アバネーラ在籍時の「Que no, que no」(『Light』収録)とカバー中心でしたが、何せ彼は天才。どんなオリジナルが飛び出すのか、これからの発展が楽しみです。この日はピアノでの弾き語りも1曲披露。チャーミングなコロの女性も伸びやかないい声してました。
エブリスもユリエンも、それぞれの音楽性を模索するために、ビッグ・バンドを離れ、若きバンマスとして活躍中のようです。2人のライブには、チャランゲーロたちも頻繁に遊びに来ていて、ダビの姿も見られました。アーティストとしての育ての親であり、今は良きライバルとして、2人の動向を温かく見守っているようでした。このように若い才能の台頭がキューバ音楽を常に活性化させているのかもしれません。
余談ですが、Boni & Kellyのライブにユリエンが飛び入りした時は、Don Omarの「Pobre Diabla」を歌ってました。イマドキのキューバの若者はレゲトンが好きみたいです。