
ジェニファー・パズ監督インタビュー vol. 1
映画「ポプラル!」誕生秘話、また、現在、キューバで最も愛されているバンド、チャランガ・アバネーラの人気の秘密について語っていただきました。 (05.10.08 updated)
PopularAquiAlla.com(以下、PAA):
まず、本作「ポプラル!」の着想について聞かせてください。
ジェニファー・パズ監督(以下、JenPaz):
映画のタイトルである「ポプラル!」は、チャランガ・アバネーラのヒットシングル/2003年発売の同名のアルバム『Soy Cubano, Soy Poular』(『俺はキューバ人、俺は人気者』)に由来しています。この曲は、キューバの人々の絶大な共感を呼んだのですが、それは、この曲が、キューバ人のアイディティティや、チャランガ・アバネーラとキューバの人々の特別な関係を祝福しているからです。
チャランガ・アバネーラが人気があるのは、話題の的となるオルケスタの歴史とダビ・カルサードの才能による部分が大きいと思います。ダビは人々が聴きたいと思う音楽を把握する天才。『Soy Cubano, Soy Poular』は、ダビのファンに対する感謝の気持ちから生まれたのです。
チャランガ・アバネーラのリスナーは主にキューバの大衆層で、インテリ層の中には、歌詞が下品で大衆的すぎると眉をひそめる人も少なくないようですが、チャランガ・アバネーラの魅力は、インテリジェンスなダンス音楽、それをストリートの言葉で歌うということに尽きますね。
Es difícil pensar en llegar sin antes con mi gente contar
Que alimentan las ideas, te aplauden, te elogian
Y critican en tu andar
Unos me aman, otros me odian sin razón
Pero yo a todos les entrego el corazón ...
Ahora gracias quiero dar a mi pueblo
Por hacerme popular
みんながいなかったら、私がここにいることはないだろう
アイディアを与えてくれて、私を賞賛、支持してくれる
批評する人もいる
私を愛してくれる人、理由なく嫌う人
けれど、私は分け隔てなく私の心を捧げよう
今、感謝している
私を人気者にしてくれた人たちへ
PAA:
リーダー、ダビ・カルサードについてもっと聞かせてください。彼のカリスマの秘密は?
JenPaz:
ダビは、彼の周りでいつも行われているようなクレージーなパーティに人を誘うことを拒まない人。チャランガ・アバネーラのメンバーに囲まれているのが好きで、それが彼の若さの秘訣のようです。ダビの溢れんばかりの若さや音楽を生み出すことに対する純粋な悦びが人々の心を掴むのでしょう。
ダビはヨーロッパで何年も公演活動を行い、世界中をツアーで周っている国際人であると同時に、スラングを早口で喋り、その辺で野球をするようなキューバの街角の男の子みたいな面もあります。このように、ダビは観客をどのように惹きつけるのか熟知しています。
PAA:
チャランガ・アバネーラの人気を世界的なスーパースターに例えることはできますか。日本では、「キューバ版バックストリート・ボーイズ」という印象を持っている人もいるようですが。
JenPaz:
キューバ本国では、チャランガ・アバネーラはメディアのスターであり、流行の発信源でもあるので、何百万人もファンがいて、特に若い世代に大人気です。キューバ以外では、ヨーロッパ、特にイタリアで人気が高く、他に日本やペルーでも人気がありますね。チャランガ・アバネーラは現在の米国の政策下では、アメリカでの公演を行うことはできませんが、過去には3回、ツアーを実現させています。彼らの次のツアーの予定は10月末のカナダです。
チャランガ・アバネーラはアイドル・グループの形式を踏襲していますが、彼らがファンとの間に築いている密接な関係を考えると、他のアイドル・グループとは一線を画します。また、彼らはあれだけの高度なダンス・パフォーマンスをこなしながらも、リップシンクには頼っていないことも言っておく必要があります。ブリトニー・スピアーズやバックストリート・ボーイズはリップシンクに頼っています。
PAA:
社会現象にもなった「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」の大成功について、また、キューバのポピュラー音楽におけるあなたの役割や立場については、どう思われますか?
キューバのミュージシャンたちは、自分たちのライ・クーダー/ヴィム・ヴェンダースを探していると思いますか。
JenPaz:
「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」の功績は、世間の注目をキューバ音楽へ向けさせたということです。ただ「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」のような音楽がキューバ音楽の全てであるという誤解を生んでしまった面もあります。多くの人が依然としてキューバ音楽、イコール、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブと思っていて、そういう人たちは、今、キューバでリッチな音楽シーンを牽引している素晴らしいミュージシャンたちのことは知らないでしょう。私はこの映画によって「キューバで本当に人気のある音楽」を世界に紹介できることを願っています。彼らの音楽はとても地域に根ざしたものですが、グローバルな規模で成功する可能性を秘めていると思います。十分にプロモーションすればの話ですが。poco a poco...(少しずつね。)
PAA:
監督はキューバという国、それともキューバ音楽、どちらに先に興味をもたれましたか。
JenPaz:
私はまずルンバやバタ、トラディッショナルなソンを学んだので、キューバの伝統的なリズムを現代的なセンスで取り入れたティンバという音楽に魅了される素養があったと思います。
1997年にロス・バン・バンのライブを見て、そのあまりに強烈な音楽と高度な技術に感銘を受けました。それからはキューバ音楽の虜です。この音楽サブカルチャーにおいて、私が興味を持っているのは、ダンスとファンです。そのことは映画の中でも強調してます。
PAA:
撮影期間中にユリエン(ティンバレス)とエブリス(ヴォーカリスト)という大変人気のあった2人がグループを脱退したことは、作品に影響を与えましたか。
JenPaz:
ユリエンもエブリスも素晴らしいパフォーマーで、今はそれぞれの音楽的方向性を追求しています。
チャランガ・アバネーラというグループは音楽学校のようであり、ダビはミュージシャンをスターにする術を熟知しています。二人ともダビのことは助言者として尊敬しています。
チャランガ・アバネーラの物語は、常に変わり続け、進化しています。チャランガ・アバネーラに所属したことのあるミュージシャンは既に49名もいて、ほとんどのミュージシャンが今でも自らを「チャランゲーロ」だと思っています。キューバ本国では、チャランガ・アバネーラを知らない人はいません。世界的知名度はまだまだですが。
★ジェニファー・パズ監督自身のウェブサイトもぜひご覧ください。
>>popcuba.com
監督の膨大なフィルム・アーカイブの中から、映画本編では見られなかったチャランガ・アバネーラの秘蔵映像・写真が公開されています。
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